天井画に見る欧米と日本の共通点

日本と欧米では、宗教的にも文化的にも近年になるまでほとんど交流はありませんでした。
戦国時代からヨーロッパからの船が日本に訪れることはあったものの、
それはごく一部の国に限定されており、アジア諸国のように文化に多大な影響を与えたとはいえません。

しかしそんな全くの異文化の歴史をたどってきた日本とヨーロッパでも、
不思議に共通点のある芸術作品が存在します。
それは建物の天井に描かれる「天井画」です。
天井画といえば、世界でもっとも有名かつ傑作と言われているのが
バチカン市国にあるシスティーナ礼拝堂にある天井画です。

システィーナ礼拝堂の天井画はミケランジェロ・ブオナローティによって描かれたものですが、
描かれた時代の最盛期ルネサンスの雰囲気を色濃く残す、
世界の美術品の中でもトップクラスの素晴らしさを誇っています。
システィーナ礼拝堂の天井画に描かれているのは聖書における各場面であり、
中でも「アダムの創造」はもっとも有名な作品として毎年たくさんの観光客が訪れる場所となっています。

一方で日本における天井画の中でも、最高傑作と言われているのが京都の建仁寺にある双龍図です。
これは小泉淳作画伯が手がけたもので、完成まで約2年を要したとされています。
大きさはなんと畳108畳にもおよぶもので、訪れた人に大きな感動を与える最高の出来となっています。
京都には他にも大徳寺の雲龍図や妙心寺の雲龍図、法輪寺の達磨天井画など複数の傑作天井画が残されています。

これらはいずれも、建物の天井は神の存在する天を象徴していることから、
あえて天井に描かれるという方法がとられたと考えられています。
ヨーロッパのものも日本のものも、天井画のある場所には天井以外にも壁や襖に絵が描かれていることもよくあり、
天井の絵と合わせた配置やテーマが細かく定められているということがポイントになります。

通常のカンバスや紙に描かれた美術作品と違って、
天井画は大きさもさながら見る人に圧倒的な印象を与えることで共通しています。
おそらく文字を十分に読むことのできないような人にも神の偉大さを知らせるための作品ではないかと思われるのですが、
宗教的な色彩が薄い現代の人たちにとっても高い芸術的価値があるものとして知られています。
海外旅行をする時には、まず日本国内の天井画にもふれてみて、
それらとの文化的・思想的な比較をしてみるというのもまた新しい作品の楽しみ方になるのではないでしょうか。