NINAGAWA十二夜 「歌舞伎の演目」

シェイクスピアのロマンティックコメディ「十二夜」

クリスマスから数えて12日目の夜に、東方の三博士がキリストの誕生を祝うために現れた、それが十二夜です。
エリザベス朝の当時、イギリスではクリスマスからこの日にかけて舞踏、演劇などが盛大に催され、この様子が十二夜に描かれています。

十二夜はシェイクスピアがロマンティックコメディとして書いたもので、それを歌舞伎として生まれ変わらせたものが、NINAGAWA十二夜です。

日本以外、世界でもその名をはせた蜷川幸雄さんはたくさんの名作演劇をこの世に残してくれましたが、その中でもこのNINAGAWA十二夜は傑作といわれ、歌舞伎の演出をはじめておこなった蜷川氏の心意気が伝わってきます。

NINAGAWA十二夜とはどんな作品なのか

双子の兄妹の斯波主膳之助と琵琶姫は嵐によって遭難してしまいます。
琵琶姫は獅子丸として大篠左大臣の元に小姓として奉公することになりました。

左大臣は公家の姫君、織笛姫に恋をしたのですが相手にされません。
そのため、左大臣は獅子丸に恋の使いを命ずるのですが、なんと獅子丸の事を女性と知らない織笛姫が獅子丸に一目ぼれをしてしまいます。

獅子丸の方はひそかに左大臣に恋をしているので、妙な三角関係となってしまうのです。
一方、洞院鐘道という人は姪っ子となる織笛姫と安藤英竹をめあわせる事を画策しており、さらに織笛姫の居候同然という身の上の同院を目の敵にしている丸尾坊太夫も主人となる織笛姫をしたっています。

坊太夫が織笛姫の事を好きだと知った同院や安藤は、腰元の麻阿(まあ)、捨助は、織笛姫が書いたような恋文を作らせ坊太夫をもてあそび、坊太夫は何も知らずその悪巧みにのせられてしまいます。

左大臣の屋敷に向かう主膳之助は織笛姫と会い、双子である主膳之助を獅子丸と思い込んだ織笛姫はその思いを打ち明けます。
そこに左大臣、獅子丸が現れて、物語は複雑に絡み合っていくのです。

イギリスのシェイクスピア、日本の歌舞伎のコラボ

イギリスの演劇といえばシェイクスピアというくらいに有名ですし、日本には歌舞伎という伝統があります。
その伝統導師をうまく結びつけたのが蜷川幸雄氏です。

美しく伝統ある歌舞伎という世界に、シェイクスピアで切り込みを入れるように、新しい世界を作った蜷川氏のこの作品は、さらに世界へとNINAGAWAという名を不動のものと知らしめた作品です。

演劇にこだわり、中途半端な演技は許さないという姿勢を持っていた蜷川氏は、時に俳優へ灰皿を容赦なく投げつける事でも有名でした。
しかし蜷川氏に育てられた数々の俳優さんを見ると、まさしく演技派として名をはせる俳優となっており、教え子とされる俳優さんの数は数えきれないほどです。

惜しくも病気によりこの世を去ってしまったのですが、蜷川氏の残したNINAGAWA十二夜、その他の演劇作品は今も、名作として多くの俳優が目指す所となっています。